脂肪吸引後の圧迫固定をしないとどうなる?【医師が解説】
脂肪吸引をした後は、包帯や着圧着で患部を圧迫する必要があります。これを「圧迫固定」と呼ぶのですが、どの部位の脂肪吸引においても、術後の圧迫固定は必須です。
これから脂肪吸引を受ける方の中には、圧迫固定を面倒に感じていたり、職業柄、長時間着けることができなかったりする方もいらっしゃるでしょう。そもそも、なぜ脂肪吸引には圧迫固定が必要なのでしょうか。
脂肪吸引後の圧迫固定で得られる効果と、固定をしなかった場合に起こりうる状態、着用が必要な期間についてお話しします。
<この記事でわかること>
1. 脂肪吸引後の圧迫固定の必要性
2. 圧迫固定が必要な期間
3. 脂肪吸引の後、圧迫固定をしないとどうなる?
4. 脂肪吸引の圧迫固定に関するQ&A
5. まとめ
脂肪吸引後の圧迫固定の必要性
脂肪吸引をすると、脂肪を取り除いた場所と皮膚の間にスペースが生じます。そのスペースを埋める且つ、ダウンタイムを軽減するために必要な術後ケアが「圧迫固定」とお考えください。
腫れを抑える
脂肪吸引では「カニューレ」と呼ばれる吸引管を挿入し、脂肪細胞を除去していきます。術後に腫れが生じてしまうのは、カニューレを往復させながら脂肪細胞を除去していく操作によって、脂肪の周辺組織である血管や線維組織がダメージを受けるためです。
特に術後3日ほどは腫れが強く出ますので、腫れを物理的に抑えるためにも、患部を圧迫固定する必要があります。
内出血を抑える
腫れと同様、カニューレ操作によって生じる炎症が原因で起こります。加えて、取り除いた皮下脂肪と皮膚の間に血液が溜まり、皮膚表面側に移動してくることも原因のひとつです。
基本的に、症状を緩和させるには時間経過を待つしかありませんが、圧迫固定には止血効果があります。つまり、圧迫固定によって内出血の程度を抑えることが可能ということです。
むくみを和らげる
脂肪吸引後は体が水分を溜め込みやすく、むくみを感じやすい時期。それだけでなく、手術で用いる「麻酔液」が水分として体内に蓄積され、むくみが生じます。
圧迫固定は、このようなむくみを抑える手段として非常に有効です。手術によって余ったスペースと皮膚を埋めることで、体の水分停滞を防ぎ、むくみを和らげます。
痛みを和らげる
脂肪吸引を受けるクリニックによって時期は様々ですが、通常は3日〜1週間ほど痛みが続きます。原因は、手術によって患部が傷つき、身体がダメージを受けるためです。
その痛んでいる患部を圧迫すると、無駄な動きを抑制したり、何かに触れた時にクッションの役割になったりと、痛みを和らげる効果が期待できます。
圧迫固定が必要な期間
よく患者様から「いつまで圧迫固定した方が良いですか?」というご質問をいただきます。確かに術後の生活を想定すると、どうしても気になってくる部分だと思います。
その疑問にお答えすべく、脂肪吸引後の圧迫固定が必要な時期について解説しますが、圧迫固定の考え方は医師によって様々です。そのため、一般的なクリニックと私のクリニックの場合で分けてご説明しますので参考にしてみてください。
【一般的なクリニック】1ヶ月程度が多い
一般的なクリニックの定義とは、脂肪吸引以外にも二重整形や鼻の形成、フェイスリフトやレーザー治療など、美容外科領域の施術を幅広く行なっているところを指します。ホームページの診療メニューに脂肪吸引が載っていても、症例数がそこまでないケースもあるでしょう。
そういったところはまだ新しいやり方が浸透しておらず、脂肪吸引に対する考え方や手術方法などが昔のままだったりします。そのため、部位にもよりますが、1ヶ月程度の圧迫固定を続けるように指示していることが多いようです。
【モッズクリニック】目安は1週間
当院の場合、ダウンタイム中の症状を抑えるという意味では、術後1週間の着用で十分です。
お仕事をされている方はなかなか着ける時間がないと思いますので、当院では、当日しっかりと着けていただき、翌日以降はなるべく着けていただく形でお願いしています(1日中着けられる方は着けていただきます)。
圧迫固定の期間は、脂肪吸引のやり方やダウンタイムの程度、圧迫固定に対する考え方によって差が出るものです。ダウンタイムを抑える工夫をしている当院だからこそ、圧迫着着用の期間も短期間で済ませることができます。
脂肪吸引の後、圧迫固定をしないとどうなる?
前提として、脂肪吸引後の圧迫固定は必須です。
万が一圧迫固定をしなかった際に考えられるのは、むくみや腫れ、痛み、内出血などのダウンタイム症状の回復の遅れです。むくみや腫れなどは早く解消できた方が良いと思うので、ダウンタイム軽減のためにも、担当医から指示のあった期間中は圧迫着を着用して患部を固定しましょう。
また、圧迫固定には、元々脂肪があったスペースと皮膚を埋める効果がありますから、「圧迫固定を怠ると皮膚が余り、たるみや凸凹が生じる」との見解を持つ医師もいますが、私自身はそう思いません。
なかには、術後に凸凹ができてしまった時に「圧迫してないから凸凹になった」と担当医から言われる方もいらっしゃるようです。
しかし、手術の結果は患者様ではなく、医師が責任を持つべきです。圧迫固定の長さと仕上がりの美しさは、比例するものではないと考えています。
脂肪吸引後の圧迫固定に関するQ&A
脂肪吸引をお考えの方にとって、圧迫固定に関する疑問は付き物でしょう。ここでは、患者様からよくいただくご質問とその回答をご紹介します。
Q.部位が違っても圧迫期間は同じ?
A.二の腕・お腹・太もも周りは1週間〜1ヶ月が平均。顔は3日程度が多い
<ドクター補足>
圧迫固定はダウンタイムを軽減する目的で着けるものですから、どちらかと言えば吸引量が多い太ももやお腹は圧迫期間が長くなる傾向にあります。
逆に言うと、他の部位に比べて吸引する脂肪量が少ない顔の脂肪吸引は、ダウンタイムが短く、圧迫期間も短めです。
術後はフェイスバンド、またはフェイスサポーターと呼ばれる圧迫着で患部を固定していただきますが、顔の場合は1週間よりも短く、3日程度としているクリニックが多い印象があります。
実際、当院でも手術当日は1日着けていただきますが、翌日以降はできるタイミングのみで3日までの着用をお願いしています。
他の部位と同じように1日中着けられるようであればそれが理想ですが、顔は人目に触れる部分ですから、お仕事中の着用は難しいはず。在宅時のみ圧迫固定をしていただく形でも問題ありません。
Q.寝る時は圧迫着を着けるべき?
A.圧迫期間中は着けて寝た方が良い
<ドクター補足>
足のむくみが気になる時に着圧タイツを履いて寝ると、翌朝にはむくみが解消されてスッキリしますよね。
脂肪吸引後の圧迫着も同じく、就寝時に着用するとむくみが軽減されるので、ダウンタイムが気になる期間は着けて寝ましょう。
圧迫着の影響で寝苦しさや不快感を感じるなどがあれば、一度担当医に相談して外しても問題ないかを確認すると良いです。
Q.圧迫着を半日しか着けられなくても大丈夫?
A.医師の考え方にもよるが、半日でも問題ない
<ドクター補足>
圧迫着というのはダウンタイムを楽にする、言わば日常生活をサポートするアフターケアです。当然ながら着けた方がダウンタイムが楽になるのは確かですが、先ほども申し上げた通り、仕上がりには何の関係もありません。
さまざまな事情で1日着用し続けるのが難しいという方も多いと思いますから、私としては、できるタイミングで着けていただければ半日の着用でも大丈夫です。
※術後どれほど経過しているのか、または医師によって意見が分かれる部分ですので、不安な方は一度担当医に相談しましょう。
Q.むくみが気になる場合は圧迫着の着用を継続しても良い?
A.継続自体は問題ないが、ある点に注意が必要
<ドクター補足>
脂肪吸引後の圧迫固定を一刻も早く外したいとお考えの方もいれば、長く着けていた方がむくみが取れて安心できるとお考えの方もいらっしゃると思います。もし後者の考えをお持ちの場合は、下記の点に注意しながら圧迫を続けましょう。
色素沈着にならないよう肌を保湿する
意外と知らない方も多いのですが、脂肪吸引後のお肌は乾燥しやすく、デリケートな状態です。特に拘縮が見られる術後3週間頃から乾燥を感じるようになり、これによって痒みが生じることも少なくありません。
これに加えて、圧迫着の長期着用で肌が擦れ、痒みが生じるケースもあるので十分に注意しましょう。痒みを我慢できずに皮膚を掻いてしまうと、色素沈着ができてしまう恐れがあります。
むくみを緩和するために圧迫着の着用を継続することは問題ありませんが、色素沈着ができないよう、お肌をしっかりと保湿した上で着用する必要があります。
線が入らないよう気を付ける
お腹の脂肪吸引をされる方に注意していただきたいのが、姿勢です。
圧迫着を着けた状態で姿勢が悪い状態が続くと、圧迫着の線が入ってしまいます。すぐ消えれば良いものの、拘縮(ダウンタイム)中は皮膚が硬く、一度付いた線は消えるまでに時間がかかります。普段の生活の中でも大切なことですが、脂肪吸引後は特に正しい姿勢を心がけましょう。
また、圧迫着の縫い目で線が付いてしまうことも少なくないので、縫い目が外側にある圧迫着を選ぶとより安心です。
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ありそうでなかった、縫い目が外側の圧迫着が登場。
まとめ
脂肪吸引後の圧迫固定について、脂肪吸引を専門とする美容クリニック「モッズクリニック」の長野ドクターにお伺いしました。参考になりましたでしょうか。
美容クリニックや医師、施術部位によって見解は異なるものの、圧迫固定の期間によって皮膚が凸凹する(仕上がりに影響する)ようなことはないそうです。
また、圧迫着を着ける上で注意すべきは、姿勢。圧迫着の跡がついてしまわないよう、正しい姿勢を心がけてくださいね。
当社が取り扱う脂肪吸引後専門の圧迫着『リポサポ』は、脂肪吸引を行う医師や実際の患者様からいただいた意見に基づいて開発されました。圧迫着の跡がついてしまうリスク・ストレスを軽減し、快適な着心地の圧迫着をご提供します。
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このコラムに関する監修医師
経歴
- 1982年岩手県生まれ
- 2006年東京慈恵会医科大学医学部 卒業
亀田総合病院 入職 - 2008年東京慈恵会医科大学 入職
- 2012年THE CLINIC 入職
- 2013年THE CLINIC 福岡院 院長 就任
- 2015年THE CLINIC 東京院 院長 就任
- 2016年モッズクリニック 開院
所属学会・資格
- 日本美容外科学会会員
- コンデンスリッチファット(CRF)療法認定医
- VASER Lipo認定医
- VASER 4D Sculpt(ベイザー4D彫刻)認定医