脂肪吸引後の圧迫は仕上がりに影響するのか? ドクターに聞いてみた
身体の気になる部分の皮下脂肪を除去し、高い痩身効果を得ることができる脂肪吸引。
部分痩せができる魅力的な施術ですが、脂肪吸引について調べていくと「術後の圧迫固定を怠ると皮膚が凸凹になる」「毎日圧迫固定をしないと、皮膚がたるむ」といった情報を見かけることがあります。
脂肪吸引で細くなっても、皮膚の凸凹やたるみが生じてしまっては本末転倒……。圧迫固定と仕上がりの関係を気にされる方は少なくないはずです。
果たして、脂肪吸引後の圧迫固定によって仕上がりが変わってしまうというのは本当なのでしょうか。リポサポの記事を監修いただいているモッズクリニックの長野先生に聞いてみました。
Q.圧迫固定が仕上がりに影響するって本当ですか?
脂肪吸引後の圧迫固定をしなかったり、途中で外したりしてしまった場合、仕上がりが悪くなるというのは本当なのでしょうか。
A.患者様が行うアフターケアが仕上がりに影響することはない
クリニックによっては、「圧迫固定を怠ると脂肪を吸引した箇所の皮膚が余り、たるみや凸凹が生じる」と伝えているところもあるようですが、私はそうは思いません。
なぜなら、脂肪吸引の仕上がりは医師の技術力によって決まるものだからです。患者様が行うアフターケアが、仕上がりに影響することはありません。
そもそも、圧迫固定は術後のダウンタイム軽減を目的としたアフターケアです。仕上がりを綺麗にするためのものではないので、ご安心ください。
Q.圧迫固定にはどのような効果がありますか?
ダウンタイム緩和のために必要な圧迫固定ですが、具体的にはどのような効果が得られるのでしょう。
A.効果①痛みを緩和する
手術によって脂肪の周辺組織(血管や線維組織)がダメージを受けることで、筋肉痛のような「痛み」を生じます。症状は術後3日〜1週間ほどで落ち着きますが、この時期は非常にデリケート。圧迫固定で患部をカバーすることで不要な動きを抑制してくれるので、痛みの緩和につながるわけです。
また、患部がどこかに触れたり、ぶつけたりした際も、圧迫固定がクッション材のような役割をしますので、痛みを和らげることができます。
A.効果②腫れを緩和する
腫れは、手術によるダメージで患部が炎症を起こしているのが原因です。
さらに、手術時に注入した麻酔液によっても腫れが生じるため、手術当日から術後3日頃までは症状を強く感じるでしょう(1週間程度で落ち着きます)。
そんな辛い時期こそ、圧迫着の着用が効果的です。圧迫固定で患部を物理的に抑えることで、腫れの症状緩和につながります。
A.効果③内出血を緩和する
手術で脂肪を取り除いた部分には、手術中や手術後に出血した血液が溜まります。溜まった血液が皮膚の表面近くに移動することで起こるのが「内出血」です。
内出血は手術翌日から出始め、術後1週間をピークに、2週間ほどで落ち着きます。内出血が出た患部を見てびっくりされる方もいますが、必ず消えるのでご安心ください。
そんな内出血をなるべく早く緩和するには、圧迫固定の着用が欠かせません。圧迫固定には止血効果があり、内出血を最小限に抑えることができます。
A.効果④むくみを緩和する
脂肪を取り除いた部分には血液が溜まるとお伝えしましたが、他にも手術時の麻酔液やリンパ液といった水分も溜まります。これによって生じるのが「むくみ」です。
むくみは手術当日から出始め、術後2週間〜1ヶ月頃に落ち着くのが一般的な経過。圧迫固定で水分の停滞スペースを埋めることで、不要なむくみを緩和します。
Q.脂肪吸引後の圧迫固定はいつまで必要ですか?
脂肪吸引が完成するまでの間、圧迫固定はいつまで続ける必要があるのでしょうか。
A.クリニックによって大きく異なる
施術方法や使用している機器、ダウンタイムの程度などで異なります。つまり、クリニックによって様々な考え方があるということです。
当院の場合は、脂肪吸引専門のクリニックとして、術後のダウンタイムを軽減する様々な工夫をしているため、圧迫固定の期間も比較的短めで、基本は術後1週間までです。
もちろん、圧迫固定を続けた方が楽になることは事実ですが、仕事の関係で常に着けることができない方も多いはず。当院の場合、そういった方には「就寝時や在宅時のみ着けていただくだけでも問題ありません」とお伝えしています。
<部位別の圧迫期間の目安>
顔 | 二の腕 | お腹 | 太もも | |
---|---|---|---|---|
モッズクリニック | 術後3日まで | 術後1週間まで (むくみが気になる場合 は2週間まで) |
術後1週間まで (むくみが気になる場合 は継続) |
術後1週間まで (むくみが気になる場合 は継続) |
他のクリニック (目安) |
術後1日〜 長くて1ヶ月まで |
術後1ヶ月まで | 術後1ヶ月まで | 術後1ヶ月まで |
Q.圧迫固定がきつい、ゆるい時の対処法を教えてください。
圧迫固定を続ける中で、圧迫加減に不安を感じた場合はどのように対処する必要があるのでしょうか。
A.圧迫固定がきつい時:担当医に相談して固定をゆるめる
きついと感じる場合は一度担当医に相談し、固定をゆるめましょう。
「圧迫固定を外すのは良くない」と頑張って続けてくださる方もいらっしゃいますが、圧迫加減が強過ぎると、痛みや痒みの原因につながります。
また、血行不良を引き起こす可能性もありますので、きついと感じた場合は早めに相談しましょう。
A.圧迫固定がゆるい時:圧迫固定をやり直す
きつく感じる場合と同様、適切な圧迫固定ができていない可能性が高いです。そのため、圧迫固定をやり直す必要があります。
その他の原因として考えられるのは、単に圧迫着のサイズが大きいケース。術後2〜3週間経過している場合は、腫れやむくみの鎮静によって圧迫着がゆるく感じているケースも考えられます。
ダウンタイムが落ち着いた後も圧迫固定を継続する場合は、再度自分に合ったサイズの圧迫着を購入してケアを続けましょう。
Q.圧迫固定中、一部分にむくみが集中している時の対処法を教えてください。
圧迫固定中は「手先や足先など、一部分にむくみが集中して辛い」といった声もあります。そのような場合の対処法はあるのでしょうか。
A.圧迫面積が広い圧迫着を選ぶ
一部分に強いむくみを感じている方は、圧迫範囲が狭い圧迫着を選んでいませんか?
脂肪吸引後は、脂肪を吸引した部分の周辺にもむくみが生じます。つまり、患部だけを圧迫しても、圧迫されていない隣接部位にむくみが集中してしまうということです。
例えば太ももの脂肪吸引の場合、太ももだけでなく膝やふくらはぎ、足先にまでむくみが及びます。症状を最小限に抑える一番の対処法は、圧迫範囲を広げることです。事前の対策として、圧迫面積が広い圧迫着を選びましょう。
まとめ
今回は、脂肪吸引後の圧迫の目的や効果について、モッズクリニックの長野先生にお伺いしました。
長野先生の回答にもある通り、脂肪吸引後の圧迫固定は、仕上がりを良くするためではなく、術後のダウンタイムを軽減するために行うアフターケアです。
つまり、正しい圧迫固定を行うことは、ダウンタイムを快適に過ごすための近道でもあります。そこで重要な鍵を握るのが、圧迫着の選び方。様々なメーカーやデザインがあり、何を基準に選ぶべきか迷ってしまう方もいらっしゃると思います。
適切な圧迫着を選ぶポイントについては、こちらのコラムもご覧ください。
「脂肪吸引後におすすめの圧迫着を部位別にご紹介!【専門販売店が解説】」
脂肪吸引後におすすめの圧迫着
このコラムに関する監修医師
経歴
- 1982年岩手県生まれ
- 2006年東京慈恵会医科大学医学部 卒業
亀田総合病院 入職 - 2008年東京慈恵会医科大学 入職
- 2012年THE CLINIC 入職
- 2013年THE CLINI 福岡院 院長 就任
- 2015年THE CLINIC 東京院 院長 就任
- 2016年モッズクリニック 開院
所属学会・資格
- 日本美容外科学会会員
- コンデンスリッチファット(CRF)療法認定医
- VASER Lipo認定医
- VASER 4D Sculpt(ベイザー4D彫刻)認定医